嘘から始まる恋だった
自分の息子が義娘にストーカーまがいの事をしていると知らないのだろうか⁈
簡単に同棲を許すこの人の言葉の裏に何か含みがある気がするのは気のせいか?
脳裏をよぎる疑問を打ち払い、すぐに返事をしてかたい握手を交わした。
これで、思惑通りに事を運べる。
麗奈に考える余裕を与えない為にも、今日中に俺のマンションに引っ越ししてもらわなければ…逃げ道を作るだろう。
引っ越しの話を持ち出すと彼女はやはり同棲は嘘だと思っていたようで、迷惑かけれないとかいい拒む。
フッ…
まったく、何もわかっていない。
専務に同棲の許可をもらった事で拒むことなんてできないのに…なんとかしようと諍う麗奈。
強引に丸め込み、引っ越しすることを納得させる。
夕方、待ち合わせの約束をし、彼女との同棲生活に胸を躍らせ仕事を早く切り上げる予定を組んだ。
終了の時間を少し過ぎた時
週末ということもあるせいか、部署内の人の気配が減っていく。
さて、俺もそろそろ帰ろうと残っている社員に声をかけ彼女の待つロビーに向かう。
そこに見える彼女の姿
そして…余計な存在がいる。
急ぎ足で彼女の元に駆け寄り奴を威嚇するが、なせか奴の目当てが野村さんに…
混乱する俺に麗奈が事情を簡潔に説明してくれて…状況を理解する事ができた。
俺を敵視し麗奈を見る奴の目は、まだ諦めていない。
少し、懲らしめておこうとわざとおこしただろう昨日のミスを厳重注意する。
好きな女の前でプライドを傷つけられ、睨んでくる男をさりげなく庇う野村さんの瞳が揺らいでいる。
ピンとくる直感…
そういう事かと新たな思惑が芽生えた。
野村さんと奴がくっつけば全てが解決する。
奴を野村さんに任せ、俺は麗奈を連れ彼女のアパートに向かった。
そこでも諍うとする麗奈。
彼女を優しく包み…
『……迷惑だなんて思ってない。お前の側にいたいんだ…』
本心を伝える。
『毎日、お前が無事か心配で眠れない……寝不足で仕事に影響する方こそが迷惑かけるってわかれよ。それに何かあったら直ぐに駆けつけれない。俺を安心させる為にも一緒に住んでくれ…』
揺らぐ瞳にトドメとばかりに彼女の頬に手を添え…懇願する。
諍うことを諦めた麗奈は、可愛らしい笑顔で微笑んだ。
車中、約束通り食事して帰ろうと思い、彼女の食べたいものを聞けばラーメンがいいと言う。