嘘から始まる恋だった
もっと、もっととよく深くなる俺は、首すじをつたう蜜をわざと見逃し、彼女のブラウスのボタンを1つ、2つと外し白い肌に舌を這わせ甘い蜜と肌を味わう。
女性特有の甘い香りが鼻先をかすめ、クラっと持っていかれそうになるほど匂いに魅かれ、このまま服を脱がし、なめらかな肌に手を滑らせ抱きたくなるほどに欲情させられる。
だが、わずかな自制心が外してしまったブラウスのボタンを閉じた。
そうしなければ…見える胸の谷間に顔を埋め唇を這わせていただろう。
虚ろに目を潤ませていた彼女の頬にキスをして…
「…俺を好きだと言うまでお預けだな……俺の自制心がなくなる前に1日でも早く認めろよ」
冗談めかして苦笑いし、彼女のおでこを指先で小突いた。
おでこを触り、頬を染める麗奈…
可愛らしくて、今にも押し倒したい衝動をグッと堪えている俺。
彼女を手元に置いておきたくて同棲に持ち込んだが…こんなに理性が効かなくなるとは思ってもなかった。
やばいな…
側に置いて、キス以外何もせずにいられるだろうか?
「さて、麗奈の部屋に案内するよ」
彼女の荷物を持って、空いている部屋に向かった。
客間用の部屋にはクローゼットとベッドもあるから困らないだろう。
だが…少な過ぎる持ち物。
「明日は、麗奈の服を買いに行こうな」
戸惑う麗奈…
「…必要ないよ」
「俺がお前と出かけたいだけの言い訳だから気にするな」
「……ありがとう…」
素直な麗奈…俺が気を使ってそう言ったと思ったのだろう。
そんなことないのに…
恋人同士のようにドライブに出かけ…
手を繋いでショッピングして…
1つの食べ物を歩きながら分けて食べて…
お腹が空いたらどこかで食事をして…
帰りはちょっと寄り道して…
冬の綺麗な夜空を見上げて…
キスをして…
抱きしめたいだけで…
俺の願望を1つずつ叶えていこう。
「風呂を沸かしてくるから荷物を解いたら先に入って休めよ」
ポンポンと麗奈の頭を叩いて、部屋のドアを閉めた。
風呂あがりの麗奈がルームウエア姿で出てきた。
彼女がお泊まりにきたような感覚に、本物の恋人同士になった気がして頬が緩んでしまう。
彼女の気持ちを待つと決めた以上、待つつもりでいるが…このまま耐えるのは辛すぎる。
あまりにも無防備な麗奈が、憎らしい小悪魔に見えた。
「麗奈…頼むから何か羽織ってくれ。目のやり場に困る」
ボッと頬を染めた麗奈だった…