嘘から始まる恋だった
帰りは、スーパーに寄って晩ご飯の食材を買う。
「今日は、何にする?」
「そうだなぁ…遅くなったし簡単に鍋焼きうどんにでもするか⁈」
「寒いし、温まるね」
カゴにうどんやつゆ、白菜や長ネギを入れる。
あとはマンションに帰って冷蔵庫にある卵や人参を足して、高貴が買ってくれたお鍋で煮込むだけ。
高貴が荷物を持って、朝と同じように手を繋いでマンションまで歩いて帰って、部屋に帰るとお互い部屋着に着替えてから、キッチンに立つ。
2人で食事の支度をする時間も楽しくて、野菜の切り方ひとつで笑いが絶えない。
こんなに幸せな時間を知ってしまうと…高貴に好きと言いたくなる。
そんな私をわかっているように…
煮込む時間の数分は男の腕が伸びてきて流しに手をついて私を囲む。
ドキドキしだす私の肩に、いつものように顎を乗せて耳側で囁く男。
「麗奈…こっち向いて」
何をするかわかっているけど…近い距離にドギマギしてうつむいたまま振り返ってしまう。
私の顎に男の指先がかかり、少し力強く顎を持ち上げて近づく男の顏。
服にしがみついて受け入れる私を楽し気に見つめて、キスが始まる。
触れるキス
物足りなくなると何度も唇を啄むキス
そして…
私の体を抱きしめると始まる濃密なキス
口の中を無尽に貪るキスにめまいを起こしそうになる。
そのキスを止めるのは、余裕のある男。
私を腕の中に抱きしめたまま、吹きこぼれる寸前で火を止め、キスで逆上せている私の頬に手を添えて撫でると満足そうに微笑む。
そして、テーブルまで鍋を持って行ってくれる。
私は、冷蔵庫を開け冷えたビールを中から出して頬に当てながらテーブルまで歩いて行く。
そんな私を見ていつも楽し気に笑う男。
たわいもない会話をして食事が終われば、高貴はお風呂に行く。
その間、私は後片付けをして終わる頃、高貴が上がってくる。
「いつも思うけど…ゆっくり入ってくればいいのに。疲れとれないよ」
「麗奈を抱きしめて寝てれば、疲れなんてとれるさ」
うそばっかり…
腕枕して同じ姿勢で寝ていて、疲れがとるれわけがないのに…
そう思いながら見ていても、濡れた髪を無造作にタオルで拭いてソファに座り一服しだす。
高貴は吸わない人なのかと思っていたけど…タバコは、必ずお風呂から上がると真っ先に吸う。
美味しそうにタバコを吸う男の横顔が好きで、つい側まで行き肩にもたれて眺めてしまう私。