嘘から始まる恋だった
「はい⁈」
呆れる優香。
「池上部長って…よっぽど麗奈が大事なんだね」
優香に話してない事情があるからなんだけど…言えないの。
ごめんね。
「……そうかな?」
「そうだよ…私なんて、常盤さんがイマイチ何考えているかわからないもの」
そうだ…
なかなか、優香と込み入った話ができていないから…あの後2人がどうなったのかよく知らない。
「そうなんだ…2人がどうなったのか気にはなってたんだけど…」
「それなら、今日は聞いてもらうわよ」
「……ランチしながらでもいい?」
「もちろん…それなら2人同時に休憩入れるように先輩にお願いしなくっちゃ…」
ウキウキしだす優香。
だけど…義兄の本当の目的が何か知りたい私は複雑だった。
ーーーーー
お昼休憩
愛想のいい優香は、先輩にうまく取り入りお昼休憩を代わってもらい、内緒話をしたいからと会社の前にあるカフェでランチすることになって…
「麗奈は、池上部長と本当に仲がいいわよね」
「……そうかな⁈」
「そうだよ。いつも一緒に通勤して、ロビーの影でいちゃついてさ…」
「……」
ぶっと口に入れていたドリアを吹き出しそうになった。
「…ど、どうして知ってるの?」
「みんな、知ってるわよ。気づいてないのは麗奈だけみたいだけど…」
意地悪くニカッと笑う優香。
「みんな⁈」
「誰かが偶然目撃してアッという間に噂が広がってね…物好きが現場をスクープとかいって一部のSNSでながれてたのよ。今は削除されたけど…保存してあるから見てみる?」
そこに写る写真
私は背を向けていて顔こそわからないように撮ってあるけど…知っている人が見れば一目瞭然。
男の視線がカメラ目線なのが気になる…
「これ…」
「でしょう⁈絶対、カメラに気づいてる目だよ」
「……そうだよね」
知らなかったのは私だけみたいね…
高貴が帰ってきたら問い詰めなくっちゃ…
「麗奈に教えないなんて…部長って腹黒いわよね」
「どうして…そう思うの?」
「えっ、それは、決まってるじゃない…麗奈と…うふふ。やっぱり、教えてあげない…」
「えっ…意地悪しないで教えてよ」
「わかんないままでいなさい。その方が麗奈は幸せなんだから…」
「……そんな…」
口を尖らせてみるけど優香は笑うだけ…
「麗奈は愛されていて羨ましいわ…私は、常盤さんに愛されてるのは体だけよ」
優香の突然の告白に咽せた私。