嘘から始まる恋だった
「……えっと、まさか…よね?」
「そのまさかだけど…あの日から関係あるわよ」
驚く私を一瞥し、目の前のドリアに口をつけてる優香。
「驚くこと?大人の男と女なんだし、お互い合意ならあることよ」
「……そうかもしれないけど」
優香が切なく微笑む。
「心配しないで…常盤さんの心に誰がいるか知っていて望んだことよ。必ず、振り向かせるつもりでいるから…麗奈はいい加減、池上部長に心を開いてあげたら?」
「……心を開くって何?」
優香の意味深な発言にドキっとする。
「わかってるくせに…私は、過去に常盤さんが何をしたか知っても嫌いになったりしないわ…きっと、池上部長もそうよ。それに、常盤さん…だって苦しんでいるの…麗奈…彼を許してあげれない?」
優香は、何を言っているの…?
「……い、意味がわからないわよ」
「あなたと常盤さんの間で何があったのかは知らない。でもね…私を抱きながら麗奈の名前を呼びながら謝るの。だから…だいたいの想像はついてるわ…」
突然、波を浮かべる優香。
聞いている私も涙が溢れてくる。
「そんな…優香は……辛くないの?」
好きな人から誰かの代わりに抱かれていても辛いのに、名前まで……
それに、義兄を許してあげてとまで……
「……許せるとか許せないとかの問題じゃないの…忘れたくても忘れられない恐怖ってわからないでしょう⁈……やっとその恐怖から逃げられる…高貴が救ってくれたの。義兄さんがどんなに謝っても過去は変わらないし…忘れられない。だけど、私は前に進みたい……義兄さんも前に進んで欲しい」
「……麗奈、ごめんね。麗奈だって辛いのに…」
「……私に高貴がいるように、義兄さんの側に優香がいてくれることで変わってくれたらいいと思う」
「大丈夫よ。絶対、私を好きにさせるから…」
涙を拭きながら、おどけ口調で話す優香に笑いが溢れていた。
大丈夫…
義兄さんも変わってくれる。
こんなに、愛してくれる人が側にいるんだもの…
「義兄さんをお願いね…いつか、2人きりになっても平気になれる日が来ると思うけど…今は、まだ…」
「うん…さっき、私が池上部長に心を開いたらって言ったけど…辛い事を言う必要はないと思うの。ただ、私が言いたかったのは、いい加減、キス止まりじゃなくてその先に進んだらって言いたかったの」
体の関係がないと
「……どうして知ってるの?」