嘘から始まる恋だった
「勘かな……あのSNSでピンときたのよね」
はい?
「意味がわからない」
「……まぁ、かわいそうだから私が知ってることを教えてあげる……あの写真流したの常盤さんなの」
えっ…義兄さんが⁈
「常盤さんの狙いは部長を政略結婚させようとしている上層部までいくことで2人の仲を裂くつもりだったんだけど、池上部長は、すでに手を回してたみたいよ…婚約者だってね…」
それは、お義父さんに結婚を前提にと報告してあるからかしら?
「で、どこから関係がないってわかるの?」
「驚かないんだ?……ふーん。つまんない…」
いじけて、ドリアをまた食べ出す優香。
「意地悪しないで教えて…」
「……写真を撮ったのは常盤さん。それに気づいていたくせにカメラ目線でキスし続けて常盤さんを牽制してるあたり、性格悪いわよね。まぁ、それは置いておいて…体の関係があればもっと生々しく密着してキスしてると思うの。この写真の部長は、なんとなく麗奈と距離をとってキスしているように見えるもの…麗奈の手はさげてるしね」
画面を開いてほらっと私に見せてくる。
「私なら体の関係がある男に、抱きついてキスしてる」
「それだけのことで、わかるものなの?」
「麗奈を知っているから、雰囲気でなんとかなくね」
そんなものなのかな?
「撮った常盤さんは、気づいてないけど…うふふ」
楽しそうに笑う優香。
「何が楽しいの?」
「えっ…はめるつもりで撮った本人がはめられて…2人がまだ深い関係になってないって気づいてないで、悔しそうにしていたから慰めてあげたの」
慰めてあげたのって…そういうこと⁈
「常盤さんがどん底に落ちれば落ちるほど、私を必要としてくれる。そのうち、私なしじゃいられなくなるまで落ちればいいって…」
涼しい顔で恐ろしい事を言う優香に寒気が一瞬していた。
「だからね…麗奈には池上部長と幸せになって常盤さんをどん底に落としてあげてほしいの」
綺麗な顔で微笑む優香。
女の腹黒い部分をあっけらかんとさらけ出す彼女に言葉が出てこない。
彼女を敵に回すと怖いのではと慄いていると…
「麗奈とは、いい友達でいたいの。だから、本心を言うのよ。お互い、幸せになる為に手段を選ばないわよ。……それは、池上部長も同じみたいだけど…麗奈は知らないまま愛されてなさい」
クスッと笑い優香が冷えたドリアを食べ終えると休憩時間が終わる頃だった…