嘘から始まる恋だった
2月のある日
「大丈夫か?」
「うん…だるいけど…微熱だし大丈夫だよ」
「そうか?…服を着て寝ないからじゃないのか?」
高貴がそれを言う?
抱き合えたあの日から毎日のようにベッド以外でも求めてきて、ルームウェアを着て眠る気力も湧かなくなるまで抱くくせに…
ジロッと恨みまがしく睨んでやる。
それなのに…
「体力ないからだぞ…」
クスクスと笑っている。
「高貴が体力あり過ぎなのよ」
「これでも手加減しているのに…」
はい⁈
ベッドが軋み、チュッとおでこにキスをしてくる男。
「とりあえず、こじらせる前に今日は休んで病院行ってこいよ」
「うん…」
「じゃあ、行ってくる」
「行ってらっしゃい」
高貴が仕事に出かけ、だるさでまた布団に潜りこむ。
何だろう?
このだるさ…
薬を飲んだわけでもないのに眠くて…睡魔に負けて眠ってしまった。
お昼過ぎ目が覚めて…だるい体を無理矢理起こしてスマホを見ると高貴からのメールが数件。
『大丈夫か?』
『病院行ってきたのか?』
『薬飲んだのか?』
『暖かくして休んでいろよ』
などなど似たような内容が続いていた。
フッ〜
病院行って来なくっちゃ…
駅近くにある101ビルの中の内科に向かった。
ここは、お昼過ぎまで診療しているので会社員には便利なのだと高貴が教えてくれた。
受付で初診を受けて、すぐに名前を呼ばれた。
「花崎さん、最近生理きました?」
「えっ…生理ですか?」
「えぇ、最近きた生理を覚えていますか?」
そう言えば…今年に入ってから生理がきていない。
「あの…妊娠してるって事でしょうか?」
「たぶん、そうでしょうね。ここは産婦人科じゃないのではっきり断定できませんが、風邪ではないようですよ。産婦人科を紹介しますから行ってみてください」
その足で、紹介してもらった産婦人科へ行くと…
「おめでとうございます。妊娠されてますよ。2ヶ月に入ったところですね…」
私の反応を伺うお医者さん
「……ここに赤ちゃんがいるんですね。……産みます…」
「それは良かった。まだ、ご結婚されてないようなので…」
左手の薬指をチラッと見ているので…
「婚約しているので…彼も喜んでくれると思います」
「そうですか…それでは1ヶ月後にまた診察しましょう。次回は母子手帳をもらってきてください」