嘘から始まる恋だった

「………考えさせてください」

「そうだね…君にも時間が必要だろう。3月までに返事を待ってあげるよ。それを過ぎたら専務とお義兄さんは首だよ」

断れないように脅す会長に怒りしか湧いてこない。

「もちろん、このことは高貴には内緒だ。話したらどうなるかわかってるよね」

「わかっています」

いつの間にかマンション前に車が停車し、私はドアを開け降りると勢いよくドアを閉めた。

ウィンドウの向こうから

「いい返事を待っているよ」

と会長が言って車がどこかへ行った後ろ姿を見て涙が溢れていた。

どうして…
あの人は残酷なの。

義父と義兄を盾にして、断れないように脅してくるなんて…高貴に恨まれても答えはひとつしかないじゃない。

残りわずかな数日を楽しかった思い出にしたい。

出会って良かったと思えるように…
この子に、彼の思い出話ができるように…

たくさん彼を刻みつけようと涙を拭い、マンションの中に入って行った。

ーーーーー

「ただいま…」

「お帰りなさい」

玄関まで高貴を出迎えて抱きつく。

「…どうしたんだ?」

「…ねぇ、キスして…」

顔を近づけキスを催促する私。

「麗奈からなんて珍しいな⁈」

「うん…1人で寂しかったの」

「フッフフフ…かわいい奴」

高貴の手が頬を撫で少し屈んで唇に触れた。

離れる唇を逃がさないように…高貴の首に腕を回し角度を変えて何度もキスを催促する。

驚く高貴

体調を悪くしていると思い、気遣って躊躇する唇に、私から舌を絡めしだいに深くなっていくキス。

玄関先だと言うのに…キスを深めながら高貴の手が胸を服の上から弄るだけで、馴染まされた体は自然と体の奥が疼くように、彼を求めて戦慄く。

「このまま続けも大丈夫なのか?」

「もう、大丈夫だから続けて…」

ネクタイを緩め、男の首に唇を這わせると男の手がスカートを捲し上げていく。その場で始まる行為に喜んで男にしがみついた。

壁を背に片足を持ち上げられて、突き上げる男に欲情して…何度も登りつめる快感に大きな声をあげれば…

「今日の麗奈は、いつも以上にすごいな…このまま、一緒にお風呂に入って続きをしよう」

浴室まで抱き上げられて、洗面台の平らな部分に腰を降ろされる。キスをしながら汗をかいたスーツを脱ぎ、一枚一枚脱いでいく男を手伝い、キスの合間に自分も服を脱いでいると、待ちきれないとばかりに私の服を脱がせて肌を撫でていく手に、体中に走る甘い痺れに自然と甘やかな声が漏れていた。
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