嘘から始まる恋だった
事前にお湯をはってあった湯船の中で…
そして、シャワーの下で…
私が求めるまま抱いてくれた高貴。
ベッドの上で私を抱きしめ、乱れている吐息を整えるようと息をしている。
「……フ〜…麗奈に煽られて…こんなに前走力で抱いたのは…はじめてだな」
「……ふふふ…そうよね。いつも、余裕があって…終わった後って涼しい顔してるものね。こんなに息を乱した高貴見たことないから…私、欲情したもの…」
「……たまには、我を忘れて夢中になるのもいいかもな…いつも、麗奈を乱して何も考えられなくなるまで追い詰めるのもよかったが、歯止めがきかなくなるまで麗奈に翻弄されるのも悪くない」
「休み無しに何度もイかされて苦しいんだからね」
「女は、男と違ってそういう体にできてるんだ…それだけ、イケるってことは俺たちの体の相性がいいってことだから、何度でも落ちればいいじゃないか…」
「バカ…そう言う問題じゃないもの…何度もイかなくていいの。そこに愛されているって喜びがあれば、それだけで女は満足するんだから…」
「そう言うものなのか?」
「そうなの…だからね、これからは何回もしなくていいから、たくさん愛してほしいの」
来月には、高貴と別れるのよ。
だから、妊娠しているから流産しないように抱いてなんて言えないもの。
そう…
会長は姿を消せと言ったけど…
私がいなくなったら高貴はどうなるの?
きっと、必死に探して私を見つけてしまう。
そうなると、高貴の夢だった大和建設の社長になるって夢が消えてしまう。
それに、義父も会社にいられなくなるなら…
はっきりと別れた方が高貴の為だと考えた末の答えだった。
だから後、数日…
あなたに愛されていたと忘れないように抱いてほしい。
「毎回、体じゃなく麗奈を愛してるんだがな⁈」
不満そうにタバコに火をつけ始める男。
「うん…十分愛されてるって実感してるよ。でも、高貴と違って次の日、あっちこっち痛くて…筋肉痛になるもの。だから…ね、手加減してほしいの」
「……わかった。その代わり今日みたいに麗奈から誘うこと」
「えっ…」
そんな恥ずかしいこと毎回無理だよ。
「じゃないと、めちゃくちゃになるまで抱いてしまうけど…いいのか?」
「……わかった」
「よし…明日からどんな風に誘惑されるのか楽しみにしているよ。毎回、誘惑の仕方を変えるんだからな」