嘘から始まる恋だった
「……迎えに来るの遅くなってごめんね。今日からは3人で暮らそうね…聞こえたかな?」
上目遣いで私に確認するから
「……聞こえたと思うよ」
「麗奈にも言ってるんだけど…分かってる?」
「……私にも話してたの?てっきり、お腹の赤ちゃんにだけだと思ってた。……それに3人じゃないよ」
「えっ…どう言うこと?」
「……双子なんだ」
「男かな女かな?」
「まだ、わかんないよ」
「……そうなのか?」
「うん…私、高貴に似た男の子と女の子が欲しい」
「……」
お腹に頬を寄せてぎゅっと腰を抱きしめる高貴。
「俺は、麗奈に似た女の子が欲しい」
高貴の柔らかい髪に手を添えて撫でていく。
「……どっちでも可愛いだろうな」
「うん…私達の赤ちゃんだもの」
「……なぁ⁈」
「なぁに?」
「……麗奈を抱きたい」
「うん…私も高貴が欲しい。でも……激しいのは…」
「うん…大丈夫。赤ちゃんをびっくりさせないから抱かせて……」
膝をついていた高貴が立ち上がり、私をベッドに寝かせていく。
唇が触れ合い、優しく何度も啄む唇が肌を滑っていく。
首すじ、そして合わせを開いて少し大きくなった胸に唇が落ちて、少し大きくなったお腹にも何度もキスをする音が室内に響く。
お腹を気遣い、優しく抱く高貴。
だけど、時折見せる意地悪に翻弄されて妊婦だというのに『もっと』と言って高貴を求めてしまう。
そんな私を見て意地悪く口角を上げて微笑む高貴は、ジャケットを脱いだだけでシャツのまま余裕のある声で誘う。
「麗奈…おいで」
高貴を跨り、ゆっくりと求めていく体は貪欲に欲しがる。
背にしがみついて、濃密なキスをして男の胸板に擦れる胸を押し付けて男を煽れば、襦袢からはだけた肩に噛みつくようなキスをする高貴。
何度も…
「俺を信じなかった罰だよ」
肌に残る疼く痛みは、高貴を傷つけた痛み。
「……信じなくてごめんなさい」
「許してあげない」
高貴の声にシュンとしてしまう。
「どうしたら…許してくれる?」
「……一生俺から離れないって誓える?」
「もう離れないよ」
「…例え離れてもこうして連れ戻す。お前は俺の女なんだからな」
高貴が大好きな私にしたら、甘いセリフにしか聞こえない。
「……高貴だけしかいらない」
甘い束縛に自ら落ちていく…
「もっと、俺を欲しがれ…」
男の囁きは私を堕落させていく甘い薬のように何度も耳元で囁いていた。