そのキスで教えてほしい
袋を両手に持つ私は、運転席の方へまわる崎坂さんを見つめていた。

「鈴沢って、化粧してなくても可愛いんだな」

「え……」

「じゃあね」

私は固まったまま崎坂さんを見つめ、車が走り去っても呆然としていた。

そうだ、私すっぴんだった!
ていうかいま、可愛いって言われた……?

ぼんっと、一瞬で顔が熱くなり、くるりと体の向きを変えて大股でマンションへ進む。

まずい、まずい、まずい。
これ以上気になるのは本当にまずい。

そう思うのに、頬の熱は簡単には引かなかった。
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