そのキスで教えてほしい
わざわざ言わなくてもいいじゃないか。
見透かされていた。
悔しさと羞恥でいっぱいなのに、この胸の高鳴りはなんだろう――
お昼休み。湖島さんは本当に木村さんに声をかけていた。
湖島さんがいる営業部は六階。
わざわざ階が違う私たちの部署までやってきた。
休憩スペースの自販機の前で二人が話しているのを見つけた私は、そっとその脇を通って課へ戻り、自分のデスクへ着いた。
「飲みに行くの、今週末になりそうだって」
崎坂さんにそう声をかけられたのは、昼休みの終り。
隣へ座った彼は、柔らかい笑顔を私に向けてきた。
湖島さんは木村さんと話をしたあと、あの活発そうな笑顔で崎坂さんの元へ行き、報告をしたのだろうなと想像できた。
「お店とかは?」
「まだ。湖島がまかせろって言って張り切ってるから、決まったら声かけてくるだろ」
崎坂さんは一息吐き、ノートパソコンを開きながら力を抜いて言った。
見透かされていた。
悔しさと羞恥でいっぱいなのに、この胸の高鳴りはなんだろう――
お昼休み。湖島さんは本当に木村さんに声をかけていた。
湖島さんがいる営業部は六階。
わざわざ階が違う私たちの部署までやってきた。
休憩スペースの自販機の前で二人が話しているのを見つけた私は、そっとその脇を通って課へ戻り、自分のデスクへ着いた。
「飲みに行くの、今週末になりそうだって」
崎坂さんにそう声をかけられたのは、昼休みの終り。
隣へ座った彼は、柔らかい笑顔を私に向けてきた。
湖島さんは木村さんと話をしたあと、あの活発そうな笑顔で崎坂さんの元へ行き、報告をしたのだろうなと想像できた。
「お店とかは?」
「まだ。湖島がまかせろって言って張り切ってるから、決まったら声かけてくるだろ」
崎坂さんは一息吐き、ノートパソコンを開きながら力を抜いて言った。