そのキスで教えてほしい
「うん。でね、これは他の子には言ってないんだけどぉ……あまりにもカッコイイからよろけたフリして抱きついちゃったの!」
「えー!? やだぁ、絵理子! 彼氏いるのに。しかもベタすぎ!」
「えへへ。でも、崎坂さんは私のこと抱きとめたけど、何ともない感じでさ。脈ナシ」
「あら残念。ていうか、あんたは彼氏いるんだからそういうことしちゃダメ!」
「はーい」
盛り上がる彼女たちの声を聞きながら、自分の鼓動が大きく全身に響いていくのを感じていた。
木村さんと、たぶん彼女と仲の良い同期との会話だと思う。
あの時二人を見て抱き合っているのだと思った。
けどあれは、木村さんがよろけたフリをして、崎坂さんが反射的に支えたという場面だったの?
勢いよく体の向きを変え、そこから離れて違う場所のトイレを使った。
その間頭の中で蘇る、崎坂さんに対して放った言葉。
私、最低とか言っちゃったよ……。
彼は何も悪いことをしてなかった。木村さんの方が悪い。
大きな動揺で体に力が入らなくなって、ふらふらとオフィスへ戻る。
だけど崎坂さんの姿が視界に入ると、一気に力が入って申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
謝らないと。
誤解して酷いことを言ってしまったのだから。
ゆっくりと自分のデスクに近づいて、パソコンに文字を打っている崎坂さんをちらちらと見ながら椅子に座った。
「えー!? やだぁ、絵理子! 彼氏いるのに。しかもベタすぎ!」
「えへへ。でも、崎坂さんは私のこと抱きとめたけど、何ともない感じでさ。脈ナシ」
「あら残念。ていうか、あんたは彼氏いるんだからそういうことしちゃダメ!」
「はーい」
盛り上がる彼女たちの声を聞きながら、自分の鼓動が大きく全身に響いていくのを感じていた。
木村さんと、たぶん彼女と仲の良い同期との会話だと思う。
あの時二人を見て抱き合っているのだと思った。
けどあれは、木村さんがよろけたフリをして、崎坂さんが反射的に支えたという場面だったの?
勢いよく体の向きを変え、そこから離れて違う場所のトイレを使った。
その間頭の中で蘇る、崎坂さんに対して放った言葉。
私、最低とか言っちゃったよ……。
彼は何も悪いことをしてなかった。木村さんの方が悪い。
大きな動揺で体に力が入らなくなって、ふらふらとオフィスへ戻る。
だけど崎坂さんの姿が視界に入ると、一気に力が入って申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
謝らないと。
誤解して酷いことを言ってしまったのだから。
ゆっくりと自分のデスクに近づいて、パソコンに文字を打っている崎坂さんをちらちらと見ながら椅子に座った。