そのキスで教えてほしい
***


唇と唇が触れそうな瞬間を思い出すと、体が熱くなる。

崎坂さんに謝ることができたのはよかったけれど、出掛ける約束を強引に決められてしまった。

しかもまた、キス。
崎坂さんは何を思って私にキスをしたのか。

冗談なのか本気なのかわからない彼。

デートというのは本気らしい……。


崎坂さんは夜、私にメールをしてきた。

『午後、迎えに行く』

それだけ。
どこに行くのだろう。
映画館、水族館、遊園地?
気になるけれど、強引に決められた予定に私が乗り気だと思われるのは恥ずかしいので、『わかりました』としか返せなかった。

崎坂さんと二人で出掛けるなんて、ドキドキする。

寝ようと思って布団に入っても、明日のことを考えて遅くまで眠ることができなかった。
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