そのキスで教えてほしい
***


どう答えればよかったのだろう。

軽い人だから、どうせからかっているんでしょう?
きっと気まぐれ。適当な気持ち。

――どう思う?

崎坂さんの声が頭から離れない。
あの時答えられなかったのは、からかっていると崎坂さんが認めるのが怖かった。

震える想いにどうしようもなく彼を呼んだら、囁くようなキスをされて。
でも、それだけで。

私が崎坂さんに訊きたい。

私のこと、どう思っているんですか?


とんでもなく、気まずい。

キスをされたのは今回が初めてではないのに、最初よりも、その次よりも、私は崎坂さんへどういう態度をとっていいのかわからなくなっていた。

ぎこちなく彼を避ける。
顔もうまく見ることができないし、目を合わせるなんて絶対に無理。
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