そのキスで教えてほしい
私は頬を押さえて湖島さんに視線を返した。
ふとした瞬間の表情を見られてしまった。

「あの、別に何もないです……」

「そう?」

「はい。……あ、湖島さん、良い女性は見つかりましたか?」

「あー、今のところ見つからないかな」

湖島さんは苦笑した後、腕を組んだ。

「良い女性を見つけようと思っても、この人素敵だとか、可愛いって思うのはふとした瞬間なんだ。意気込んで女性を見ているうちはそういう瞬間に出会わないんだよなぁ」

なるほど、と私は頷いた。
確かにそういう瞬間はふとしたものなのかもしれない。

「湖島さんの好みの女性、早く現れるといいですね」

私はにっこりとしながら湖島さんにそう言った。
すると、湖島さんは私をじっと見る。

どうしたのかと、私が首を傾げると湖島さんは首の後ろを触って視線を外した。

「鈴沢さんさ、俺と休日遊んでみない?」

「……はい?」

突然の言葉に私は瞬きを多くしながら相手を見る。
いきなりどうしたというのか。

「いや、なんか鈴沢さんみたいな子と一緒に出掛けたら楽しそうだなって。ダメもとで言ってみたんだけど」
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