そのキスで教えてほしい
ドキン、と脈打つ鼓動が体に響く。
崎坂さんの言葉の意味を頭の中で必死に考えるけれど。

どんどん熱っぽくなって、思考が働かなくなる。

考えるよりも先に本能が感じ取ったのかもしれない。
彼の熱い眼差しが刺さる。

「……どうしてですか?」

私の声は震えていた。
崎坂さんは一度そっと視線をそらし、再び私を見た。

「好きだからだよ。それ以外の理由があるわけないだろ……ずっと、鈴沢のこと見てるのに」

息が止まってしまうかと思った。
私をじっと見下ろす崎坂さんから目を離せない。

「……私のこと、からかってますか」

「からかってない」

「遊び、とか」

「違う。どうして疑うんだよ」

「だって、崎坂さんの行動はいつも……女性に対して軽そうな……」

私がそこまで言うと、崎坂さんは大きな溜め息を吐いて脱力した。
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