そのキスで教えてほしい
「いやぁ、よかったよかった」

湖島さんは自販機でコーヒーを買った後、振り向いて満面の笑みを見せてきた。

それに対して崎坂さんは不機嫌な顔で、私は微妙な笑い。

想いを伝えあった次の日のお昼休み。自販機のそばで私たちは話をしていた。

崎坂さんが湖島さんを呼び出したのだ。

理由は、あの時のこと。


「鈴沢さんに『素敵な女性が現れるといいですね』って言われたとき、笑顔が可愛いなって思ったからノリで誘ったけど、無理っていうのはわかってたし。鈴沢さんは崎坂だろうなって、飲みに行ったときからなんとなく思ってたからさ」

湖島さんは口角を上げ、コーヒーを飲む。

「崎坂もさぁ、鈴沢さんに気があるんだろうなって思ってたから。鈴沢さんと話してるときに崎坂がこっちへ来るのに気づいて、後でからかうつもりで崎坂に聞こえるように鈴沢さんのこと誘ったんだけど。こいつ超不機嫌になっててさ、言いづらいからそのままにした」
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