ブレスフル クリスマス
そう思ってたら
突然、視界が開けた。

「うわぁー・・・きれーい・・・・・・」

ひとりでにそんな言葉が口を突く。
そこは私がいつもうろうろしてる街を一望できる見晴らし台やった。


まず、目に飛び込んでくるのは
向こうの方に見える海。
右手の方にはさっきまでいてたキャッスルガーデン。
そこから左の方へ視線を移していくと
海辺にある小さい遊園地の観覧車。
この街のランドマークである赤いつづみ型のタワー。
数年前、お笑い芸人と女優が超豪華披露宴をしたことで有名なホテル。
もう、離婚してしもたけどな。

さらに左へ目線をスライドして行く。
ウチのカフェの近所にある百貨店。
オフィスビル群。
30階建ての市役所。
その奥には埋め立ててできた人工の島へ繋がる赤い大橋。
手前の方にはさっき見たうろこの壁の洋館の屋根が見えてる。

洋館街の裏手に
こんなとこ、あったんや・・・。
全然、知らんかった・・・・・・。

「ここからの眺め、気に入っててさ、イヤなことがあった時によく来てたんだ」

冷たい風が頬をなでるのがちょっと寒いけど
謙司さんの声はやっぱり耳に心地よかった。
< 26 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop