抱えきれないほどの花束をあげよう!
敦美がいるとどうも家の中がぎくしゃくする上、長男の直弥がいらついて、父親にまで強い意見を言う始末に万須美は悩んでいた。
そんなある日の夜、ひどい嵐で近所で停電になり、万須美はその日は隆造と関連会社のパーティーへ出席しており、
家には敦美と直弥、冬弥だけでいた。
「きゃあああああああ!!!」
敦美はリビングにうずくまって泣き叫んだ。
父親が亡くなってから、敦美は暗闇が続くと、父の遺体の前でひとり泣いていた日のことを思いだすのだ。
外は風雨がひどく、雷が鳴っていた。
「いやぁああああ!もう・・・いや。
こわいよ・・・お父さん!お父さん帰ってきて・・・置いていかないでよ。
ううう・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
「敦美!!どうした?
こんなに震えて、冷たくなって・・・冷や汗か?
どうしたんだ・・・言ってみろ?」
直弥が敦美の異変に気付いて抱きかかえるようにして、リビングの床に座らせると敦美が小さな声で父親が亡くなった後の嵐の日を思い出してしまって動けないと説明した。
「大丈夫だ。ここは俺の邸の中だぞ。
ちょっと停電してるけど、すぐに発電機で少しだけ明るくしてやるよ。」
直弥がクリスタルグラスに入った蝋燭台を並べ、発電機で小さなランプをつけると部屋がオレンジ色に包まれた。
「勉強はできないが、これなら怖くはないだろ?」
「直弥お兄様・・・どうして今日は私に親切にしてくれるんですか?」
「えっ?・・・そりゃ、おまえが涙ぽろぽろ泣きまくってるからだ。
俺だって鬼じゃないぞ。
嵐でのトラウマで泣いてる女の子相手に、きついことを言ってもっと悲しませるようなマネはしないさ。
元気になったら、自分のことは自分でやれ!だけどな。ははは。」
「直弥お兄様って怖い人なのかと思ってたけど、優しい人なんですね。
よかった・・・。私いつも叱られて、にらまれてばかりだから、いっぱい嫌われてるんだとばかり思ってました。」
「嫌ってたんじゃね~よ。俺は冬弥と違って、女性の扱いっていうのが苦手っていうか・・・仕事を憶えなきゃいけない時期というか。
甘えてるやつは基本的に嫌いだし、おまえも最初はうちの財産狙いじゃないかと家のことを考えてたんだ。
けどな・・・最近、おまえは金欲しさで動く女じゃないってわかったよ。
最初の決め事どおり、学費と住むところの負担のみを親父から援助してもらってる以外はアルバイトまでしてるんだな。」
「どうして、私がバイトしてるのを知ってるんですか?」
「見たんだよ。営業を体験してるときに、ファーストフードやスーパーのレジとかがんばってる敦美をな。
俺はがんばってるやつは応援したくなるっつ~か、同志のようだと思ってな。
だけど、おまえは高校生だし、妹だ。
心に傷も抱えたまま、気がふれてしまったとあっては、お義母さんに合わせる顔がない。
だから、俺はこれからおまえを妹としてなるだけ優しくするつもりだ。
あ・・・だけど、不器用だからどう接すればいいかはわかってないんだ。
ときどききつい物言いもあるけど、許してくれよな。」
「ううん、私ずっと嫌われてるって思ってて・・・今日はとてもありがたくて、うれしいです。」
そんなある日の夜、ひどい嵐で近所で停電になり、万須美はその日は隆造と関連会社のパーティーへ出席しており、
家には敦美と直弥、冬弥だけでいた。
「きゃあああああああ!!!」
敦美はリビングにうずくまって泣き叫んだ。
父親が亡くなってから、敦美は暗闇が続くと、父の遺体の前でひとり泣いていた日のことを思いだすのだ。
外は風雨がひどく、雷が鳴っていた。
「いやぁああああ!もう・・・いや。
こわいよ・・・お父さん!お父さん帰ってきて・・・置いていかないでよ。
ううう・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
「敦美!!どうした?
こんなに震えて、冷たくなって・・・冷や汗か?
どうしたんだ・・・言ってみろ?」
直弥が敦美の異変に気付いて抱きかかえるようにして、リビングの床に座らせると敦美が小さな声で父親が亡くなった後の嵐の日を思い出してしまって動けないと説明した。
「大丈夫だ。ここは俺の邸の中だぞ。
ちょっと停電してるけど、すぐに発電機で少しだけ明るくしてやるよ。」
直弥がクリスタルグラスに入った蝋燭台を並べ、発電機で小さなランプをつけると部屋がオレンジ色に包まれた。
「勉強はできないが、これなら怖くはないだろ?」
「直弥お兄様・・・どうして今日は私に親切にしてくれるんですか?」
「えっ?・・・そりゃ、おまえが涙ぽろぽろ泣きまくってるからだ。
俺だって鬼じゃないぞ。
嵐でのトラウマで泣いてる女の子相手に、きついことを言ってもっと悲しませるようなマネはしないさ。
元気になったら、自分のことは自分でやれ!だけどな。ははは。」
「直弥お兄様って怖い人なのかと思ってたけど、優しい人なんですね。
よかった・・・。私いつも叱られて、にらまれてばかりだから、いっぱい嫌われてるんだとばかり思ってました。」
「嫌ってたんじゃね~よ。俺は冬弥と違って、女性の扱いっていうのが苦手っていうか・・・仕事を憶えなきゃいけない時期というか。
甘えてるやつは基本的に嫌いだし、おまえも最初はうちの財産狙いじゃないかと家のことを考えてたんだ。
けどな・・・最近、おまえは金欲しさで動く女じゃないってわかったよ。
最初の決め事どおり、学費と住むところの負担のみを親父から援助してもらってる以外はアルバイトまでしてるんだな。」
「どうして、私がバイトしてるのを知ってるんですか?」
「見たんだよ。営業を体験してるときに、ファーストフードやスーパーのレジとかがんばってる敦美をな。
俺はがんばってるやつは応援したくなるっつ~か、同志のようだと思ってな。
だけど、おまえは高校生だし、妹だ。
心に傷も抱えたまま、気がふれてしまったとあっては、お義母さんに合わせる顔がない。
だから、俺はこれからおまえを妹としてなるだけ優しくするつもりだ。
あ・・・だけど、不器用だからどう接すればいいかはわかってないんだ。
ときどききつい物言いもあるけど、許してくれよな。」
「ううん、私ずっと嫌われてるって思ってて・・・今日はとてもありがたくて、うれしいです。」