抱えきれないほどの花束をあげよう!
敦美はとにかく走って広い通りへと出た。
そして、見覚えのある駅名が書いてあるバスに飛び乗って寮へと帰っていった。
享祐は3日敦美に何も連絡をとらなかった。
何といえばいいのかもわからなかったからだ。
しかし、4日目の夜のこと・・・敦美がパソコンをいじっているとラッキーからチャットの申し入れがあった。
ラッキー「どうしたの?ずっと来てくれなかったね。」
ジョディ「うん、ちょっと誰とも話したくなかったの。」
ラッキー「何かあった?」
ジョディ「私、もう誰かに頼まれて何かをするのをやめようと思うの。」
ラッキー「何か頼まれていたのかい?」
ジョディ「うん。美術部のマネージャーをやってほしいって担任の先生に頼まれてがんばろうって思ったんだけどね、その先生って絵の世界ではすごい人だったみたいなの。
合宿も手伝わなきゃって思って、アルバイトもしたんだけど、いろいろわかってくると私は何もわかってなくて、絵のこともぜんぜん興味がないのにって不満ばかりが出てくるの。
だからね、私は私のやりたいことをした方がいいんじゃないかって思ったの。」
ラッキー「ジョディのやりたいことって何?」
ジョディ「お花を育てたいの。学校だったら園芸部かな?」
ラッキー「1年からどうして入ってないんだ?」
ジョディ「園芸部がなかったからなの。華道部はあったんだけど、そっちの道じゃなくてね。
土が触りたいっていうか・・・。
それがね、最近、園芸部ができたの。隣のクラスの子が同好会から始めてね、やっと部になったんだって。
すごく魅力的で・・・そっちが気になってたのかもしれない。
だけど、それより前に美術部の話がきちゃって・・・断りにくくて。
先生がすごい人だってわかったら、ますます敷居が高くなって、もう我慢できなくて。」
ラッキー「先生には何て話すつもりなんだい?」
ジョディ「うまく話せないから退部届に手紙をつけて、部員の人から先生に渡してもらおうかと思って。」
ラッキー「それはよくないと思うよ。」
ジョディ「だって・・・先生はきっと私に美術部はやめないように説得してくると思うし、私そうなったら、口汚く『もう、嫌!』って言ってしまいそうだもの。
きっと、先生も他の部員の人も傷つけちゃう・・・うまく言えないから、嫌な子になっちゃう。」
ラッキー「そんなことはないと思うよ。さっき言ってた園芸部のことを素直に勇気を出して言えばいいんじゃないかな。
先生は担任でもあるんだろう?
君が本当にやりたいことがあるのに、それをダメとは言わないと思う。
これは僕が先生をやってるからとくにそう思うんだ。」
ジョディ「そう?園芸部に入っても怒られないかな。恨まれない?」
ラッキー「残念がられるだろうけど、怒ったり、恨んだりはしないと思うよ。」
ジョディ「そうかな。じゃ、明日がんばって先生に話してみる。
でも、アルバイトとかいっぱいお世話になった人もいて気が重いなぁ。」
ラッキー「そこまで世話してくれた先生なら、もしかしたら君のことは特別に思ってるのかもしれないね。
ところでさ・・・君はその担任の先生のことはどう思ってるの?
嫌いってわけじゃないんだろ。」
ジョディ「うん。だけど、ただの美術の先生じゃないと思ったら近寄りがたい存在っていうか、怖くなっちゃった。
私があまり足を踏み入れる世界じゃなさそうなんだもの。
それに私は高校を卒業したら、少しでも早く社会人になって母や兄たちの重荷にならないようにしなきゃ。」
ラッキー「大学は行かないつもりかい?」
ジョディ「専門学校に入れたらって思うけど、学費がね・・・どこかのお花屋さんに就職してお金をためて、それから考えるかもね。
それがとりあえずの私の目標なの。」
ラッキー「じゃ、明日、勇気を出して行っておいで。」
ジョディ「うん、ありがとう、ラッキーさん。私、勇気出せる気がしてきた。
じゃ、おやすみなさい。」
そして、見覚えのある駅名が書いてあるバスに飛び乗って寮へと帰っていった。
享祐は3日敦美に何も連絡をとらなかった。
何といえばいいのかもわからなかったからだ。
しかし、4日目の夜のこと・・・敦美がパソコンをいじっているとラッキーからチャットの申し入れがあった。
ラッキー「どうしたの?ずっと来てくれなかったね。」
ジョディ「うん、ちょっと誰とも話したくなかったの。」
ラッキー「何かあった?」
ジョディ「私、もう誰かに頼まれて何かをするのをやめようと思うの。」
ラッキー「何か頼まれていたのかい?」
ジョディ「うん。美術部のマネージャーをやってほしいって担任の先生に頼まれてがんばろうって思ったんだけどね、その先生って絵の世界ではすごい人だったみたいなの。
合宿も手伝わなきゃって思って、アルバイトもしたんだけど、いろいろわかってくると私は何もわかってなくて、絵のこともぜんぜん興味がないのにって不満ばかりが出てくるの。
だからね、私は私のやりたいことをした方がいいんじゃないかって思ったの。」
ラッキー「ジョディのやりたいことって何?」
ジョディ「お花を育てたいの。学校だったら園芸部かな?」
ラッキー「1年からどうして入ってないんだ?」
ジョディ「園芸部がなかったからなの。華道部はあったんだけど、そっちの道じゃなくてね。
土が触りたいっていうか・・・。
それがね、最近、園芸部ができたの。隣のクラスの子が同好会から始めてね、やっと部になったんだって。
すごく魅力的で・・・そっちが気になってたのかもしれない。
だけど、それより前に美術部の話がきちゃって・・・断りにくくて。
先生がすごい人だってわかったら、ますます敷居が高くなって、もう我慢できなくて。」
ラッキー「先生には何て話すつもりなんだい?」
ジョディ「うまく話せないから退部届に手紙をつけて、部員の人から先生に渡してもらおうかと思って。」
ラッキー「それはよくないと思うよ。」
ジョディ「だって・・・先生はきっと私に美術部はやめないように説得してくると思うし、私そうなったら、口汚く『もう、嫌!』って言ってしまいそうだもの。
きっと、先生も他の部員の人も傷つけちゃう・・・うまく言えないから、嫌な子になっちゃう。」
ラッキー「そんなことはないと思うよ。さっき言ってた園芸部のことを素直に勇気を出して言えばいいんじゃないかな。
先生は担任でもあるんだろう?
君が本当にやりたいことがあるのに、それをダメとは言わないと思う。
これは僕が先生をやってるからとくにそう思うんだ。」
ジョディ「そう?園芸部に入っても怒られないかな。恨まれない?」
ラッキー「残念がられるだろうけど、怒ったり、恨んだりはしないと思うよ。」
ジョディ「そうかな。じゃ、明日がんばって先生に話してみる。
でも、アルバイトとかいっぱいお世話になった人もいて気が重いなぁ。」
ラッキー「そこまで世話してくれた先生なら、もしかしたら君のことは特別に思ってるのかもしれないね。
ところでさ・・・君はその担任の先生のことはどう思ってるの?
嫌いってわけじゃないんだろ。」
ジョディ「うん。だけど、ただの美術の先生じゃないと思ったら近寄りがたい存在っていうか、怖くなっちゃった。
私があまり足を踏み入れる世界じゃなさそうなんだもの。
それに私は高校を卒業したら、少しでも早く社会人になって母や兄たちの重荷にならないようにしなきゃ。」
ラッキー「大学は行かないつもりかい?」
ジョディ「専門学校に入れたらって思うけど、学費がね・・・どこかのお花屋さんに就職してお金をためて、それから考えるかもね。
それがとりあえずの私の目標なの。」
ラッキー「じゃ、明日、勇気を出して行っておいで。」
ジョディ「うん、ありがとう、ラッキーさん。私、勇気出せる気がしてきた。
じゃ、おやすみなさい。」