抱えきれないほどの花束をあげよう!
そこまできいた敦美はプッと吹きだして、声をあげて笑いだした。


「もう・・・ほんとに先生ったらまたお子様モード全開ね。
ダダッコみたい。あはははは。
そんなにカッコイイ海賊姿して、見てた人がみんなあの素敵な人誰かって噂されてたくらいなのに、そんなこと考えてたなんて!

あはははは、話が大きくなりすぎだと思ったら、そんな単純な思いだって・・・。
私よりずっと大人のくせに。もう・・・仕方ないなぁ。」


「敦美?もう死ぬなんて言わないんだな。」


「うん。そのかわり、勝手に私の未来を決めないでね。
ちゃんと私は考えて先生にお話しますから。

まずはお兄様たちと話をさせて。
そっちをまず、片付けないと。
そのあとで、デートに行きましょう。
大きなお花畑希望よ!」


「了解!じゃ、兄貴のとこに連れて行く前にちょっとだけ。」


「いや、何するのよ。
既成事実はまだ、ダメだったらぁ!!
キスマークをつけとくだけだから。
心配なんだって・・・俺はこう見えてもかなり小心者だってわかるだろ。」


「ぷっ!自分で言うの?
じゃあ、私がつけてあげる!」


「はぁ?」


「キスマークよ。享祐の体にいっぱいつけてあげる!
だったら文句ないでしょ。
じゃ、いっきまぁーーす!」


「お、おい、や、やめろって。
お腹ダメ・・・そこから下はだめだって。感じちゃうから・・・だめ!
や、やだ・・・敦美ちゃぁ~~~ん。
お婿にいけなくなっちゃうよぉ!」


「私のとこにお婿に来るんじゃなかったの?」


「いいの?」


「だめよ、うちはそんな資産家じゃないんだから、お嫁にもらってくれないと。」


「了解!!じゃ、お腹より下でも好きなようにどうぞ。」


「バカッ!」


享祐は敦美に体のあちこちにキスマークをつけられたまま、学校にもどって敦美ともども、服を着替えて冬弥のマンションへと向かった。

冬弥には享祐から電話してもらい、敦美が冬弥に事情をききながら、直弥と冬弥の2人に話がしたいから冬弥のマンションにきてもらうように頼んだ。


「君が敦美の担任の?」


「はい。初めましてではありませんが、七橋享祐です。よろしく。」


「なんか前に会ったときと顔が違う気がするんだが・・・。
前はなんかこうメガネのせいか、やぼったい感じでさえない男だったのに、今はすごく洗練されているというか、不思議な感じだな。」


「そうですかね。
たぶんそれは、敦美さんのキスの嵐を受けちゃったせいですよ。
もうお腹のまわりなんてすごい数で、見せるのはほんとにおはずかしいんですがね。」


「ぬぁ!敦美!!どういうことだ?
なぜ、担任教師の体におまえのキスが・・・ははん、嘘だな。
だいたい敦美にそんな大胆なことができるものか。

君は嘘をついてる。敦美はそもそも、つつましやかな女性だ。
男の体などに、そんなベタベタとキスマークなどつけやしないさ。」


「直弥兄様、お言葉だけど本当なの。私がつけたの・・・それ。
だからこんなこともできるわ。」


敦美は直弥の前で享祐と熱い口づけをかわした。


「おぃ、どうしたというんだ・・・敦美はそんなこと。」


「しないっていうの?それに直弥兄様は身ごもった女性を放って帰ってきたっていうじゃない。
私はずっと直弥兄様を信じてたのに。

会社を救ってもらって、その上に後継ぎになる子まで授かってどうして・・・私を心配してる場合じゃないでしょう!」


「仕方がなかったんだ。彼女の家族に援助してもらわなければ、会社が崩壊するだけじゃなくて、社員みんなが露頭に迷ってしまうだけだった。

だが、彼女の父親は俺からいろんなものを取り上げてしまった。
俺の手の中には・・・今の会社しか残ってなかったんだ。」
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