抱えきれないほどの花束をあげよう!
敦美は三郷の力が緩んだところを抜けて駆け出して行った。
いったん自分の寝泊まりしている部屋へもどり、胸を押さえて座り込んでしまった。
(私、どうしちゃったんだろう。こんなにドキドキするなんて。)
少し冷静になったところで敦美はやっと気がついた。
(私、今頃になって恋愛に目覚めたんだ・・・。
直弥兄様にしても先生にしても、相手の1つ1つの動作にどきどきなんてしたことなかった。
言われるままにそのとおりやって、気がついたら・・・で、すごく腹が立って。
好きなのに、そうなるのが当たり前みたいな感じだったわ。)
恋に恋するって経験がなかった敦美は、ちょっぴりうれしくもあった。
三郷さんのことが好きなのかどうかはわからない。
それに三郷さんだって、自分が学生でテニスのことや将来のことなんかで考えたいって言ってたし、同年代ってそんな感じなんだ・・・。
夕飯時の支度もいつもと変わりなく、敦美はせっせと働いた。
三郷は少し気まずい気がしたのか話しかけても来ない。
けれど、敦美は気にせず働き続け、夕飯の後片付けが終わると自室で勉強をした。
翌朝、朝の練習前のミーティングの間に敦美は朝食の用意をテーブルに並べていく。
「これで終わった。さて・・・と、次はシーツ類の洗濯をしてこないと。」
「待ってくれ、少しだけいいかな。」
振り向くと、三郷が少しつらそうな顔つきで立っていた。
「お、おはようございます。
何でしょうか?」
「婚約者がいるのにどうしてこんなバイトしてるの?」
「それを言わなければいけませんか?」
「いや、無理にとはいわないけど、気になって。
俺は学生だから先のことは約束できない・・・けど、好きになっちゃいけないってことはないはずだ!
君が嫌がることはしない。
だから、もし婚約者ってヤツとうまくいってないんだったら、俺と付き合ってくれないか?」
敦美が返事に困って、何て言おうか考えていると、後ろから答えるように声がした。
「君は今、テニスで頂上に立つという目標がある。
それも、後輩たちにそれを伝える役目だ。
それが済めば、仕事も選んで覚えて、仕事の付き合いもできてくるだろう。
とても遠くにいる女を気にしている暇はないと思うがねぇ。
その間、彼女に何もするなと縛ることもできないだろう。
俺もそうだ。高校生の彼女を縛ることはできない。
今じゃなきゃ経験できないことがあるからな。
だけどな・・・他の男に身も心も持っていかれるのは、我慢ならないのさ。」
「きょ、享祐さん・・・。」
「ごめんな。迎えに来るのが遅れて。
あ、1つ言っておく。
俺は幼なじみが嘆くからきいてやっただけで、あいつの行動がどうであれ、俺は敦美しか婚約者はいないと思ってるからな。
まぁ、いいところに来れたみたいだが・・・。」
「この人が婚約者の人?」
「はい。」
「そう。いろいろわけありみたいだね。
じゃ、俺は練習にいくよ。」
「あ・・・三郷キャプテン。
すみません、ありがとうございました。」
三郷は享祐の方に会釈してから食事室を出ていった。
そして、享祐は敦美の部屋に移動した。
いったん自分の寝泊まりしている部屋へもどり、胸を押さえて座り込んでしまった。
(私、どうしちゃったんだろう。こんなにドキドキするなんて。)
少し冷静になったところで敦美はやっと気がついた。
(私、今頃になって恋愛に目覚めたんだ・・・。
直弥兄様にしても先生にしても、相手の1つ1つの動作にどきどきなんてしたことなかった。
言われるままにそのとおりやって、気がついたら・・・で、すごく腹が立って。
好きなのに、そうなるのが当たり前みたいな感じだったわ。)
恋に恋するって経験がなかった敦美は、ちょっぴりうれしくもあった。
三郷さんのことが好きなのかどうかはわからない。
それに三郷さんだって、自分が学生でテニスのことや将来のことなんかで考えたいって言ってたし、同年代ってそんな感じなんだ・・・。
夕飯時の支度もいつもと変わりなく、敦美はせっせと働いた。
三郷は少し気まずい気がしたのか話しかけても来ない。
けれど、敦美は気にせず働き続け、夕飯の後片付けが終わると自室で勉強をした。
翌朝、朝の練習前のミーティングの間に敦美は朝食の用意をテーブルに並べていく。
「これで終わった。さて・・・と、次はシーツ類の洗濯をしてこないと。」
「待ってくれ、少しだけいいかな。」
振り向くと、三郷が少しつらそうな顔つきで立っていた。
「お、おはようございます。
何でしょうか?」
「婚約者がいるのにどうしてこんなバイトしてるの?」
「それを言わなければいけませんか?」
「いや、無理にとはいわないけど、気になって。
俺は学生だから先のことは約束できない・・・けど、好きになっちゃいけないってことはないはずだ!
君が嫌がることはしない。
だから、もし婚約者ってヤツとうまくいってないんだったら、俺と付き合ってくれないか?」
敦美が返事に困って、何て言おうか考えていると、後ろから答えるように声がした。
「君は今、テニスで頂上に立つという目標がある。
それも、後輩たちにそれを伝える役目だ。
それが済めば、仕事も選んで覚えて、仕事の付き合いもできてくるだろう。
とても遠くにいる女を気にしている暇はないと思うがねぇ。
その間、彼女に何もするなと縛ることもできないだろう。
俺もそうだ。高校生の彼女を縛ることはできない。
今じゃなきゃ経験できないことがあるからな。
だけどな・・・他の男に身も心も持っていかれるのは、我慢ならないのさ。」
「きょ、享祐さん・・・。」
「ごめんな。迎えに来るのが遅れて。
あ、1つ言っておく。
俺は幼なじみが嘆くからきいてやっただけで、あいつの行動がどうであれ、俺は敦美しか婚約者はいないと思ってるからな。
まぁ、いいところに来れたみたいだが・・・。」
「この人が婚約者の人?」
「はい。」
「そう。いろいろわけありみたいだね。
じゃ、俺は練習にいくよ。」
「あ・・・三郷キャプテン。
すみません、ありがとうございました。」
三郷は享祐の方に会釈してから食事室を出ていった。
そして、享祐は敦美の部屋に移動した。