抱えきれないほどの花束をあげよう!
春休みの職員室で、教頭、風紀担当、生活態度担当、養護担当の教師たちは会議をしていた。


「校長先生は今日も弁護士さんに呼ばれてますね。」


「ええ、まさか現役女性教諭がネットから売春行為をして、ネットでの友人までまきこんでの乱交パーティーなんてねぇ・・・。とんだスキャンダルだ。

学校ではどっちかっていうと地味な先生だったから、見事に騙されてしまいましたね。」


「あ、じつは・・・ホームページが閉鎖されてなかったんですが・・・。」


「えっ?昨日、警察官の説明ではあのサイトは消されると言っていましたが。
違ったんですか?」


「内容はすべて消えていました。
会員もいったんは強制的に退会していたようなんですけどね、チャットと掲示板は生きていました。」


「それじゃ、また繰り返されるかもしれませんな。」


「ええ、一見女性好みのコミュニケーションサイトのように見えるところにはなっていましたけど・・・ちょっと気になりますね。
もし、うちの生徒が巻き込まれたりしたら大変ですし・・・。」


「しかし、ネット上のことだけなら、参加してるのがうちの学校の誰かが参加しているとはわからないのでは?
それに、同じような場所は他にいくらでもあふれているのが現状ですしね。」


「そうですね・・・とにかく、せめてうちの学生寮からあの場所へは行けないようにしなくては!
今度の休みにパソコンの総合チェックをします。」


「そうか。悪いね・・・そのへんは我々は疎いから、よろしく頼むよ。七橋先生・・・。」



「はい。時間を区切ってやっておきます。」


七橋享祐(ななはしきょうすけ)はもうすぐ28歳になる独身美術教師である。

彼はいつもなら休日は、行きつけの画廊で好きな絵を眺めて過ごしている。


しかし、今は風紀担当の意思にかられている。


問題を起こした女性教諭のこともさることながら、その女に騙された生徒もじつは3名いたのだ。

生徒が全員男子だったので、大事には至らなかったが、最初はネット上から女たちに誘われた事実があった。



そして、昨日、問題のそのサイトをうろついた享祐は、若い女とチャットすることになってしまった。
彼女は「ジョディ」と名乗った。
そして17才とも・・・。
もし、それが本当だとしたら、高校生の可能性が高い。


(いったいジョディって誰なんだ・・・。たまたまネット上で流れてきた女だったら問題はないが。
どうもひっかかる。
それに、幼い気もした。
あまりに、裏がなさすぎるところが怖くなる。)
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