コント集「出産」
狼「正直、さっきおばあちゃん食べたんで、今日はもういいかなって感じです」

赤ずきん「そこだわ」

狼「何ですか」

赤ずきん「それが出てんだわ」

狼「出てる。どこにですか」

赤ずきん「どこもかしこもよ。画面からほとばしる程よ」

狼「画面。どこすか」

赤ずきん「何でおばあちゃんを食べる演技、八分目で抑えとかないかなぁ」

狼「あの、演技じゃないんですけど…」

赤ずきん「頭は残しとくとかさぁ…生首その辺に転がってたら、ホラーとしては最高じゃん」

狼「でも、自分、おばあちゃんに化けてるアレなんで、生首転がってるのはちょっと…」

赤ずきん「あ~、確かにね。鋭いわね。あ!じゃあ、こういうのはどう?布団をめくったら、生首がコロリンと転がるみたいな」

狼「でも、もう食べちゃいましたから…」

赤ずきん「分かった分かった。その設定でいきたいってことね。新人のくせに頑固だな」

狼「新人じゃなくて、狼なんですけど」

赤ずきん「分かったから。ほらやるよ。もういっぺん。あんたが生首も食べたっていう設定でやりたいっていうんなら、それなりの演技、見せなさいよ。でも、一つだけ言っとくわ」

狼「…はい?」

赤ずきん「その生意気さ、嫌いじゃない」

狼「…ありがとうございます」

赤ずきん「じゃ、いくよ。シーン276。よーーい、カッ」

狼「……………」

赤ずきん「おばあさま、どうしてそんなにお口が大きいの??」

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