「まず…」




私の驚きを無視して、長い指で手帳を開きだす。




ページを捲る手が止まる。




彼が言った『お願い』は簡単なものだった。




相変わらずの声が白い部屋に響くだけで、私はそれを他人事のように聞く。




「…よろしいですか?」





暗い声。





「…はい。」




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