失恋ワケあり両想い(仮)




『……悠の』




そこまで言って口を閉ざした。


きっと、私に気をつかってくれたのだろう。




『気を、つかわせてしまいましたね』


『……悪い』




そう言って、本当に申し訳なさそうに肩を落とすから面白くて笑ってしまった。


優しいところも少し不器用なところも悠と同じ。




『好きだな……』




思わずついて出た言葉に、自分で驚き手で口を隠す。




『あ、あの、今のは違くて――』


『――付き合わないか』




私の言葉を遮るように彼の声が重なる。


え、今、なんて……?


そう、言葉にするのはいけない気がした。


冗談と思うことにし〝ありがとうございます〟と、声を上げわざとらしく笑って見せる。
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