失恋ワケあり両想い(仮)
『冗談に聞こえたか?』
真剣な彼の表情が私の瞳に映る。
〝本気だ〟そう思うと急に足が竦み自然と足が下がった。
おぼつかない足を後ろへ引いたため、足が縺れバランス崩し背中から床に向かって傾く。
〝あっ〟と、思った時にはもう遅かった。
尻餅覚悟で目をぎゅっと瞑る。
『っ、危ない!!』
そう思ったとき、背中へ伸びた腕が私を絡め取り抱きとめる。
気づけば、彼の胸の中に私がいた。
一瞬、状況が詠めずそのままの体制でいたが〝はっ〟と我に返り状況を把握すると、急に恥ずかしくなり彼の胸を突き飛ばす。
『ご、ごめ…!あ、ありがとう……』
なんとなく、彼の顔を見ることができなくて目を逸らした。
『いや、構わ――』
『――あーなーたーたーちー』
横から妙な悪寒。
ゆっくり横を見れば先生の恐ろしく冷たい笑顔が私たちを見ていた。