私の嘘を完成させて
さっきまでギャーギャー
言い合いしてた人達も
その声で一斉に黙る。
「名前は?」
「…神田です。」
「それさっき聞いた。」
なんなの…。
名前なんて教える必要ある?
必要以上に関わっちゃいけない。
空気を一瞬にして変えてしまった
この男に…
でも言わなければ余計に
帰れない…
…尚人さん。恨むからね。
「…南那」
振り返らず聞こえてるか
わからない声で呟くように答える。
「ふぅん。じゃあな南那。」
今度は笑いを含んだその声。
満足したのか
「行くぞ」
その一声で部屋に消えていった。