私の嘘を完成させて

「何もされてねぇか?」

水ではりついた前髪を
かきあげるその姿は
妙に色っぽくて思わず
見とれてしまう。

水も滴るいい男とは
彷徨みたいな事を言うんだろう。

「おい」

「あっ。うん。
何かされる前に来てくれたから。」

今頃あの3人は
どうなっているんだろう…

想像するだけで恐ろしい。

「南那」

何?と返事をする前に
もう一度ギュッと彷徨に
抱きしめられる…

「あんま心配かけんな。
…頼れよ。」

苦しそうに言う彷徨に
胸が締め付けられる。

どうしてこの人は
私にこんなに…


< 145 / 402 >

この作品をシェア

pagetop