私の嘘を完成させて

「ねぇ」

「ん」

「どうして…
私にそこまでするの?」

抱きしめられている
その背中に私は
手を回すことは出来ない。

「さぁな。
そんなの自分で考えろ。」

クスッと笑う彷徨は
答えなんて教えてくれなくて
もどかしくなるけど
今はこの距離がちょうどいい。

「そろそろ行くか。
風邪ひくから風呂入れよ。」

「あっ…うん。」

私から離れた彷徨は
プールサイドに上がって
先に歩き出す。

明日…皆にお礼を言おう。






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