私の嘘を完成させて

新学期の始まりは
授業はなくて早帰り。

周りを見てみると
案外普通の子達ばっかりで
もっとギャルやら不良やらいると思った。

まあでもグループは既に
出来ていて、なんとなく
気まずいから教室を後にする。

家にはまだ帰らず
尚人さんにもらった
鍵を手に屋上へ向かう。


さっき来たばかりの
理事長室の前を通って
さらに上に上がって
屋上の鍵を開ける。

下校していく生徒を
ぼんやり眺めながら
鞄に忍ばせていた
煙草に火をつける。

「やっぱり不味い…」

「何してる。」

ビクッと振り返ると
後ろには

「なんでここにいんの」


「彷徨」

私の一番苦手とする男がそこにいた。
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