私の嘘を完成させて
「南那、隣人に挨拶は?」
「まだ…」
そっか。引越しの挨拶があるんだ。
めんどくさい…
「段ボールの中に挨拶の品
入れといたからそれ渡しなー」
引越し業者の人が運んでくれた
段ボールの中に見覚えのない
小さな段ボールがあった。
携帯を肩で押さえながら
両手でその段ボールを開ける
「あれ。一つ?」
「うん。一つだよ」
「だって上にも下にもいるんじゃないの?」
そうだ。こんな大きいマンションに
住んでるのは1人じゃないはず・・・
「いや。南那が住んでる階は
二部屋しかないし、
上も下も今は空き部屋だから大丈夫。」
「そうなんだ。わかった。」
「とりあえず俺は仕事に戻るから
何かあったら電話して。」