旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
プロローグ
【プロローグ】
東京のあるところに、浅葱真奈美(あさぎ まなみ)という、それはそれは可哀想な女の子がいました。
その子は国内生産四位のシェアを誇る自動車メーカー『アサギ』の跡取りとして生まれ、蝶よ花よと育てられたのですが、彼女が七歳になったとき悲劇は起きたのです。
創立者である祖父・浅葱龍矩が経営権を息子たちに譲ってから五年、『アサギ』の販売台数は目に見えて右肩下がりになっていたのです。
息子達のボンクラぶりに嫌気が差した浅葱龍矩総会長は言いました。
「もうお前らには任せられない。次の経営権はワシの大友人、結城円蔵に譲る」
『結城』とは日本を代表する大財閥で、あらゆる企業を網羅する一族コンツェルンです。
そこの総会長と昔からの友人である浅葱龍矩は、自分の会社を任せるのにボンクラな身内より日本一のコンツェルンを背負う友人を選んだのです。
ただし、結城財閥は世襲制の一族経営。彼の会社の傘下として取り入れてもらうには条件がありました。それは。
「結城と血縁を結ぶ事。つまり――真奈美。お前は結城の御曹司と結婚して、我々は一族になるんだ」
それがどんな深い意味を持つかなんて分からなかった七歳の真奈美……つまり私は素直に頷いてしまったのです。
「いいよ。あたし、お嫁さんになる!」と。
東京のあるところに、浅葱真奈美(あさぎ まなみ)という、それはそれは可哀想な女の子がいました。
その子は国内生産四位のシェアを誇る自動車メーカー『アサギ』の跡取りとして生まれ、蝶よ花よと育てられたのですが、彼女が七歳になったとき悲劇は起きたのです。
創立者である祖父・浅葱龍矩が経営権を息子たちに譲ってから五年、『アサギ』の販売台数は目に見えて右肩下がりになっていたのです。
息子達のボンクラぶりに嫌気が差した浅葱龍矩総会長は言いました。
「もうお前らには任せられない。次の経営権はワシの大友人、結城円蔵に譲る」
『結城』とは日本を代表する大財閥で、あらゆる企業を網羅する一族コンツェルンです。
そこの総会長と昔からの友人である浅葱龍矩は、自分の会社を任せるのにボンクラな身内より日本一のコンツェルンを背負う友人を選んだのです。
ただし、結城財閥は世襲制の一族経営。彼の会社の傘下として取り入れてもらうには条件がありました。それは。
「結城と血縁を結ぶ事。つまり――真奈美。お前は結城の御曹司と結婚して、我々は一族になるんだ」
それがどんな深い意味を持つかなんて分からなかった七歳の真奈美……つまり私は素直に頷いてしまったのです。
「いいよ。あたし、お嫁さんになる!」と。
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