旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
そうして、顔も知らない相手と婚約させられ、けなげにも花嫁修業までさせられたというのに……
更なる悲劇は、いよいよ近年中に結婚かと思われた十六年後に起きたのです。
結城充。結城財閥の本家長男でいずれは全権を担う、つまりは私の婚約者がなんと、総会長の継承権を放棄したのです。どうやら健康に問題があったとかなんとか。
それは一族経営で世襲制の結城にとって大きな問題で……そんな長男に代わって第一継承権を受け継いだのが、次男の
――結城颯(ゆうき はやて)二十六歳でした。
こうして物心着く前に勝手に婚約を決められたというのに、いよいよという歳になって相手が変わるという前代未聞の悲劇に襲われ、私――浅葱真奈美二十三歳はショックと怒りでお爺ちゃんをなじれずにはいられないのでした。
「おじいの大バカーーー!!!」