旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~

「本当に今日のあなたは見事な淑女ですね。とてもスッピンのおでこ丸出しでコンビニをふらついていた女性だとは思えない」

あ……あら? なんだかトゲのある言い方。

確かにあのときはくつろぎ度満点の姿を見せてしまったけれどさ。でもそんな私を『素晴らしい女性』って褒めてくれたじゃない?

「淑女と言えど、息抜きも必要ですから。それに庶民の生活を体験することは、良い社会勉強になりますわ」

なんとか取り繕い鉄壁のお嬢さまスマイルで乗り切ろうとするものの、颯さんは真正面からそれを叩き切った。

「それじゃあ浅葱のご令嬢は随分と勉強熱心でいらっしゃる訳ですね。執事に怒られようと止められようと、週に三回はコンビニに通うのをやめられない。いやはや、見上げた勤勉さだ」

「は、はぁあ!? なんであんたがそんなこと知ってんのよ!?」

ついに隠さなくなった彼の言葉のぶっ太いトゲに、私もつい不躾な声をあげてしまった。慌てて口元を手で押さえるが遅い。颯さんは冷ややか~な視線に、薄い唇を皮肉げに微笑ませて私を笑う。

「なんで知ってる、ですって? これまた馬鹿げたことを聞きますね。あなたはご自分が誰の婚約者だか分かっているんですか? 日本一の大財閥御曹司で結城コンツェルン次期総会長の妻になろうというんですよ。健康状態から学業、素行、日々の過ごし方までこちらは徹底的に調査してあります。当然でしょう? 大事な結城コンツェルンの跡取りを産む女性に問題があったら一大事ですから」
 
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