旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
お、『俺』!? 何これ、これが颯さんの素!?
私につられたのか、思いっきり素の顔を見せてしまったことに颯さんは一瞬焦った表情をしたものの、すぐに開き直ったようで再び私の方をきつく見据えてきた。
恋に落ちたときはなんて凛々しいお顔だと思ったけれど、今は可愛さ余って憎さ百倍。その綺麗な顔が実にムカつく。大体なんで私がジャンプ読んでコーフンしてたとこまで見てんのよ。
「ほんっと、御曹司さまは人の観察がお得意ですこと~。あ、やだ、もしかしてコンビニで会ったのも私を見張ってたとか? 素知らぬ顔して私を探ってたとか? うわ、いやらしい~」
「いやらしいとか言うな! そもそもお前、あのとき俺のこと全然分かってなかっただろ。こっちは見張り……じゃない、調査ついでにお前に声をかけたらどんな反応を示すか試してみたんだよ。それなのに丸っきり赤の他人みたいな顔しやがって。お前――うちが用意した俺の写真もプロフィールも何も見てないだろ?」
「ぎくっ」
しまった、墓穴を掘った。私が彼の写真をゴミ箱にダンクシュートしたことがバレてしまう。