旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
そんな私の動揺を一瞬で見抜いたのか、颯さんは思いっきり呆れと怒りを滲ませた形相でこちらを責め立てた。
「ふざけるなよマジで! 結婚相手の顔ぐらい覚えておけよ! どんだけ興味ないんだよ!? 俺、お前の夫だぞ!?」
「しょうがないじゃん! あのときは政略結婚なんてイヤだって思ってたんだから!」
「ああそうですか! 悪かったな政略結婚で! 悪かったな、二度と会えない初恋の相手じゃなくって!!」
訳の分からない彼の反論に『はぁ? 何言ってんの?』と言い返そうとしたときだった。
「颯さま、何かありましたか!?」
「お嬢さま! そんな大声を出して何事ですか?」
私たちの怒鳴り合いを聞きつけた執事たちが、どこからともなくワラワラと駆け寄ってきた。どうやら庭のあちこちで遠目に待機していた模様だ。