旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
エレガントさ、可愛らしさ、華やかさが満点に揃ったドレスアップセット一式を手にし、ついうっかり感動してしまう。
会食の前にドレスを贈ってくるだなんて、憎い演出過ぎる。童話の王子さまだって、なかなかここまではしていない。
「アイツ、ちょっとキザ過ぎない?」
気恥ずかしさのあまりドレスを手に持ったまま、さやかに苦笑いを向ければ、
「真奈美さまは素晴らしい淑女でいらっしゃいますから。颯さまはそれに相応しいあしらいをされているだけですよ」
などと、キザの上乗せみたいな台詞が返ってきて私は面食らうのだった。
そうして、さやかに手伝ってもらってヘアセットとメイクを整え着替えを済ませると。
「颯さまがお戻りになられました」
ドアの向こうからメイドの声がしたあとノックの音が響き、一週間ぶりに颯が私の前に姿を現した。
「……お……おかえり、なさい……」
一週間ぶりだとか、仲直りしなくちゃだとか、ドレスのお礼言わなくちゃだとか。色々気負いすぎた私は実にぎこちない出迎えを口にする。
そして颯は、相変わらずイケメンな顔で私を見やるとなんだか口をモゴモゴさせたあと、
「……ただいま。……ちょっと留守にしてて悪かった」
驚くことに彼の方から謝罪を口にした。