旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
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やっとちょっとはお互い歩み寄れたと思ったところで、またこの大喧嘩である。
正直私は、今夜は颯がまたへそを曲げて帰ってこなくなることも覚悟していた。
けれど、意外や意外。彼はなんと当初の予定通り、晩ご飯の時間までにきっちりと帰宅したのだった。ただし――超絶不機嫌なようすで。
「……おかえりなさい」
「ああ」
「きょ、今日は早かったね」
「ああ」
はっきり言って、今日の喧嘩は颯が悪いと私は思っている。だからこちらから謝る気などさらさらない。
けれど、いつまでも険悪な雰囲気のままなのも嫌だし、それに機嫌は治ってなくともきちんと晩ご飯までに帰宅してきた颯の気持ちが、私には嬉しかった。
プライドがあるので素直に謝れないけれど、もしかしたら颯も仲直りのきっかけを探しているのかもしれない。そう思ったのだ。
だから私はせめて雰囲気を良くしようと、彼が帰宅した時も、晩ご飯でテーブルに向かい合った時も、明るく声をかけたというのに。
……返ってきた言葉は全て不機嫌さを含んだ「ああ」だけだった。