旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
――今、私が考えてることが、どれだけ危険かは分かっている。
きっとお父さんにもおじいにも、そして何より……藤波にも大迷惑をかける。
けれど、それでももう限界だと思った。あの傲慢な暴君にギャフンと言わせてやらなきゃ気がすまないところまで、私の精神は追い詰められているのだ。
決行予定は二日後。その日私は、ウエディングドレスの試着会のため颯とドレスショップへ出かける。
ドレスショップはもちろん結城の事業グループのものだし、警護だってガッチガチに固められるだろう。けれど、それでも『外に出られる』というチャンスは大きい。この要塞のようなホテルの部屋よりかは、何倍もチャンスは広がるはずだ。
――そう。暴君による監禁生活に限界を迎えた私は、ついに颯の手中から逃亡することを企てたのだった。
もちろん、私が勝手に走って逃げたところで5秒もかからず捕まることは目に見えている。逃亡を成功させるためには協力者が必要なのだ。
結城の追走をまくことが出来るほどの力を持った協力者が。