旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~

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作戦予定日、当日。

まるで私の緊張感を煽るように、空は曇天模様の鉛色だ。

どことなく湿気がまとわりつく鬱陶しい空気の中、私と颯を乗せたリムジンは銀座のドレスショップまで車を走らせる。

颯は相変わらず無言で車内の雰囲気は陰鬱だったけど、本日のフットマンを務めるバトラーがドレスショップの概要を説明してくれた。

世界的有名ブランドが結城のためにオリジナルでデザインしたもの、ミラノコレクションに来年発表する予定の超新作、世界に名を轟かせる一流デザイナーたちが私のイメージに合わせてデザインしたもの……などなどがショップには取り揃えられ、私が袖を通すのを待ちぼうけているらしい。

聞いてるだけで頭がクラクラしてくるほど贅沢なラインナップに、改めて結城の絶大な力を感じる。どんな分野であろうと、いとも容易く世界トップレベルを取り揃えてしまうほどの権力、金銭力、支配力。

……はたして私はこんな強大な相手から逃げ切ることが出来るんだろうか。
 
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