【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち




「お昼ですよ~」


みんなの前にお膳を並べてから預けていた琉を探す。


組員さん達は琉を抱く事も遊ぶ事も以前よりずっと自然になってきた。



今日は、牧野さんのところで遊んでいた。


「牧野さんもお昼だよ~」


琉を抱くとまったくこの家は何でこんなに広いんだと思いながら


みんなの待つ部屋へ戻った。



すぐに琉を抱こうとしてくれるので


「食べてからじゃないと大変な事になりますよ」


琉の口にもご飯を運びながらみんなで一緒にお昼を食べた。




食べ終わると


「坊ちゃんほらおいで」


遠山さんが呼べば琉は身体を乗り出し遠山さんのところへ行く。


琉が何やら言葉を発すると遠山さんも


「そうかそうか、そうなのか」


琉との会話を楽しんでいる様子。



「おい次は俺だ」


奥野さんがポンポンと手を叩いておいでと呼べば


琉はまた身を乗り出して奥野さんの元へとうつる。


「えぇ子やな」


何もしなくてもいい子と言われて何て幸せな事だろう。


ゆらゆらと身体を動かしながら


「えぇ子や」


「ほんまにえぇ子や」


隼は私の事を肘でつつき吹き出すのを待っているようだ。



そしてぬくっと立ち上がった五郎ちゃんが


「ほら坊」


両手を差し出せば琉はジーっと五郎ちゃんの顔を見つめ


泣くかなと思ってけれどやっぱり五郎ちゃんの方へ身を乗り出した。




「怖いもの知らず」




由香里さんの声が聞こえて笑うのを我慢したけれど


鼻が鳴ってしまった。



「四郎、何がおかしいとね」


「何もおかしくない。微笑ましいなと思って。あ…菫がトトロが来るって言ってましたよ」



「あはははは」


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