【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち


古い人間と新しい人間では、極道の捉えかたが確かに違うという話になった。


私は極道ではないが、私の見てきた極道ものはその古い人間の方の極道で人情味があるような気がする。



「指定暴力団なんだから、推定暴力団員じゃちょっとねぇ」


「推定暴力団員と思えるやつの顔が浮かぶな。まぁ目離さないように見てるがそういうやつは変わらねぇだろうな」


「下手うって命落として終わりだ」



いやいやそこは簡単に終わりだなんて言わないでって言ったけれど保護施設でも保育所でもない。


それこそ極道なんだと言われればもっともすぎる。



何を真剣に語り合ってんだって由香里さんに言われ大笑いだ。


お膳を下げると私と由香里さんはその場から下がった。




幼稚園から帰った菫も今日は玄関で


「トトロいる?」


「いや、五郎ちゃんだから」


「トトロの五郎ちゃんでしょ」


「トトロは心の中で言うの」


桐生さんは、笑うのを我慢している様子。


「こんな事を言えるのなんて菫ぐらいよね」


「そりゃそうですよ。あっしらなんか間違っても言えねぇでごぜぇやすよ」



着替えの為に部屋へ入ると今日もトレーナーとズボン。


一通りの事が終わると食堂へとさっさと向かう。



でも振り返り


「どこにいる?」


「お話してるから入れないよ」


「菫が食堂にいるって言ってね。きーたんが待ってるから行かなきゃいけないの」




菫…そんな桐生さんの為みたいな…




捕まえようと思ったがすばしっこくてあっという間にいなくなる。


この動きについていく桐生さんもただものじゃないわ。





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