【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
それにしても待ち遠しいとは、こういう時のためにあるんじゃないかってぐらい首を長くして終わるのを待った。
だけど私の予想に反して話し合いは長い。
「ママ、なんか長くないですか?大変な事態なんですかね」
「そう?いつもこんなじゃない」
私が待ち焦がれているから長く感じるのよと言われたが
この日を指折り数えて待っていた私には本当に長い。
琉と一緒に昼寝をした由香里さんが自分は少ししか寝ていないと主張しているかのようにさえ聞こえる。
「渡辺さん何か買い物ない?」
「誰か何か買ってきてほしい人」
気を紛らわせようと御用聞きにまわる始末。
だけど私に用事を頼んでくれる人なんかここには誰もいなくてがっかり。
「結衣さん、もう夕方で寒くなりやしたから外に出ない方がいいと思いやす」
「だって待ってても退屈なんだもの」
「顧問たちが見えてるんでパトカーが…」
「止まってるの?」
「いや、さっき姐さんが話しつけに行かれたんで今は巡回ですがね、いい気分はしないと思いやす」
ちょっと待って欲しい。
菫が帰宅した時に家の前にパトカーが止まっていたのだろうか。
やめてほしい。
この住宅街で何をするっていうんだ。