【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
「誰もが平等に命はひとつだから」
まったくもってその通りだ。
命というものを大切にしてほしいと思う。
自分の命だけでなく他人の命も同じだ。
子どもを宿し母となった私は以前よりも命の尊さを意識し感謝している。
消えていい命なんてひとつもない。
「こんな事を言うのも考えるのも恐ろしくて仕方ないんだけど」
由香里さんが悲し気な顔で私を見た。
「ママ、何?聞くのも何だか恐ろしいんだけど」
「響や隼に万が一の事があった時って結衣は考えた事ある?」
「いや、ないない。絶対それは考えない」
「それじゃダメなんだよ結衣」
「無理、無理。考えたくもない」
ブンブンと顔を横に振り続ける私に由香里さんは
「私は姐さんとして組の事を真っ先に考えなきゃいけないから、結衣は家族として考えてほしい。その様が冷たく見えるかもしれないけどそれが私の役目だから」
あまりの真剣な顔に仕方なく頷きたくもない首を縦にふった。