【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
私はスマホを取り出すと震える手で119を押し
「五郎ちゃんが公園で矢で撃たれたの。早く来て!」
場所や状況を細かく聞かれるが状況なんて背中に矢が刺さったしかわからない。
次の矢が飛んでくる気配もないので五郎ちゃんに近づくと
「こら四郎、まだ来るかもしれんとね。危ないからあっちにいっとらんと」
五郎ちゃんの背中からはたくさんの血が流れている。
「五郎ちゃん、私に寄りかかって」
五郎ちゃんの前に座りその身体を私の方へもたれかけた。
あまりの重さに後ろへとひっくり返りそうになり必死で踏ん張る。
「支えるなら踏ん張らんと」
こんな状況で掠れる小さい声でも五郎ちゃんは私を笑わせ落ち着けようとする。
抱きかかえるようにまわした手が五郎ちゃんの血で染まっていくのがわかる。
脈をうつように流れて出る五郎ちゃんの血に錯乱してしまわないのは、五郎ちゃんが話しかけるからだ。
「踏ん張ってるわよ。五郎ちゃんはダイエットが必要だわ」
「引き締まったボディーに何を言うばい」
「じゃあ私がサイズアップしなきゃね。今は協力しあうしかないね」
涙が零れながらも私も笑い話を返す。