【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち



涙で霞む中に右前方から三浦さんの姿が見え



左手にはボーガンと右手には黒いナイロンの上下を着た男が血を流しながら引きずられてきた。



「五郎ちゃん。スーパーマンが悪者を捕まえてきたよ」



「三浦はえぇ役どころとね。わしはセリフのない大道具の壁あたりとね」



「黄金の壁だよ。五郎ちゃんは黄金の壁なんだから」



三浦さんと男が傍に来ると



「平良さん、この男走らせて撃ちやすかい」



「そやな」



「私がやる。三浦さんそれ貸して。連射してぶち抜いてやるわ」



自分でやっておきながら男は狙われると思うとヒーヒーという情けない声をあげ逃げようとズリズリと下がるが三浦さんの手でいとも簡単に引き戻されボコッと蹴りを入れられると唸り声をあげて蹲った。



「平良さん、もう少しの辛抱でごぜぇやす。結衣さんも頑張っておくんなせぇ」



サイレンの音が聞こえてきた。



「わしお巡りの応対苦手ばい」



「饒舌なのに?」



痛みを感じているのは五郎ちゃんなのに私が涙でぐちゃぐちゃだ。



怪我をしている五郎ちゃんが安心させようと私を気遣うから余計だ。






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