【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち


「ここでも小競り合いは起きてますよね」


「知ってた?」


「何となく空気で」


私の言葉に由香里さんはフッと小さく笑いを零し


「極道を真っ当な考えで理解するのは不可能よ。割り切れない思いの中で極道としての善悪っていうか必要か否かそれだけしか理解出来ない」


「それは、ママや私が堅気の世界で生きてきたからなのかな」


「どうだろうね。でも極道だって人の痛みを知ってる。同じ人間だもの。ただ生きてる世界が違う。それだけなんだと思う」


志摩子さんはどうだったんだろう。


「志摩子さんは怖い怖いと言いながらも、もっとスパっと物事を割り切っていたわね。八重さんを見ていてもそうでしょ?いい人かどうか考えればいい人たちよ。それでも極道の姐さんなのよ」



確かにそうだ。


人として考えればこの上なく優しくて面白くていい人たちだ。


そしてとても尊敬する方達だ。


だが極道の世界で生きている人たちを悪と考えれば悪い人たちという事になる。





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