【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち




「人を庇って怪我をしている五郎ちゃんに大丈夫かじゃなく暴力団かって。怪我していてもいいみたいなあの態度って信じられないんです。絶対許せない」



三浦が言っていた逆凛に触れた理由が明らかになった。



怪我をしていたところで平良も三浦も威嚇のために掴みかかるぐらいは出来ただろう。



だがそうしなかったのは、この結衣さんがいたからか。



小川は結衣の顔を見ながら




「それは失礼をしたようだね。私が代わって謝罪するよ。申し訳なかった」



「待って下さい。小川さんに謝っていただく事は何もありません。


それに私にじゃありません。五郎ちゃ…平良さんに謝るべきじゃないですか。


それが筋でしょ?間違った事をしたら堅気は謝罪しますよね。


極道だってそうです。責任を追及されますよ。それなのに極道に対しては堅気の間違いは謝罪なしなんですか。


怪我した人にどんな言葉をぶつけてもそれは、当然なんですか」



決して脅しをかけるようなドスの聞いた声色でも態度でもない。



だが正当性を主張する気迫はヒシヒシと感じる。



助け船を出すかのごとく


「結衣、それは人によるぞ。こう見えて小川は俺にも悪かったなってちゃんと言うぞ。同じ刑事でもこいつは、筋を通す男だ」


響は勢いよく小川刑事の背中を叩いた。


結衣もまた小川の顔をみて納得した様子で うんとひとつ頷いたのだった





< 127 / 181 >

この作品をシェア

pagetop